翻訳ソフトTrados
サラリーマンの生活に先が見え始めたころ英語の勉強をはじめました。どうも独り立ちするには中国語だけでは物足りないと思えたからでした。
いちおう商社マンでしたから船積書類や日程などの英語の定形文は読み書きができました。しかし英語を使い世界で活躍する同僚を見るにつけ羨ましいと思いました。
そんな同僚に「中国語ができて羨ましい」と言われますと逆にそれがコンプレックスになりました。
しかし人生は皮肉なものです。中国ブームが継続し英語を勉強する暇などはとてもありませんでした。でもバブルがはじけて50才の時会社をリストラされるとやっとその機会がやって来ました。そこですぐには再就職せずに1年半ほど集中的に勉強しその後も原書を読むなどして継続しました。
***
本格的に翻訳を始めたのは2009年からです。最初の仕事は大きなプロジェクトの技術文書をすべて訳すという大規模なものでした。大体5人程度ですべてを訳す予定でしたが当初は2人で仕事を分けました。もう一人の方はプロジェクトの担当者でしたから兼業でした。10月ほどから仕事を始めた段階で山のような資料の翻訳が待っていました。人手がまったく足りません。しかし増えるはずの三人は翌年の4月に雇用が予定されている人たちでそれまでは2人のままでした。
その時に思う付いたのがTradosの導入です。
Tradosは機械翻訳ソフトのようですがそうではありません。Tradosは翻訳のデータベースなのです。データベースとは、以前翻訳した文章を参照できるようにしたソフトです。
たとえば[I have a fun]を「私には趣味がある」と訳したとしますと、こんどは[I have a dog]という文章が出てきたとすると「私には趣味がある」という文章が例えば70%のヒット率というような表示とともに出てきます。そして趣味と犬にアンダーラインがついていて趣味と犬を入れ替えると大体正解となります。また数字であれば[I have 1000 Yen]を「私は1000円を持っている」と訳しておけば、[I have 2000 Yen]という文章が出てくると「私は2000円を持っている」とちゃんと金額の1000円を2000円に変更して100%ヒットの文章として訳してくれます。
このように翻訳に不安があっても過去の訳を参照しながら訳して行けますので、新規文節に対して集中できるという安心感があります。また単語は単語だけで別途参照し挿入できます。またワードやパワーポイントなどさまざまなフォーマットを読み込んで訳文もフォーマットの通りにレイアウトすることが可能です。とは言えこのフォーマットの調整は曲者でした。
フォーマットに慣れるのに大分時間がかかりましたがこの山を越えた段階で使えるソフトになりました。
文章はデータベースに入って居ますから新しい改訂版が出てきても変更点だけを見つけて翻訳することが出来ます。数百ページにも及ぶ文章で変更点が散在しても簡単に見つけてそこだけを確認して訳すことが可能です。11月の半ばにTradosを導入しましたので翌年4月には相当量の文章がデータ化されました。結局応援に入る予定の3人は営業や技術にまわり書類は私の専担になりました。
最終的に2.5年で3000頁の技術文書を訳しました。訳した資料の単語数は図面の切り貼りを除くと全部で1,717,364語でした。
→次回は翻訳ソフトTradosの2です
いちおう商社マンでしたから船積書類や日程などの英語の定形文は読み書きができました。しかし英語を使い世界で活躍する同僚を見るにつけ羨ましいと思いました。
そんな同僚に「中国語ができて羨ましい」と言われますと逆にそれがコンプレックスになりました。
しかし人生は皮肉なものです。中国ブームが継続し英語を勉強する暇などはとてもありませんでした。でもバブルがはじけて50才の時会社をリストラされるとやっとその機会がやって来ました。そこですぐには再就職せずに1年半ほど集中的に勉強しその後も原書を読むなどして継続しました。
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本格的に翻訳を始めたのは2009年からです。最初の仕事は大きなプロジェクトの技術文書をすべて訳すという大規模なものでした。大体5人程度ですべてを訳す予定でしたが当初は2人で仕事を分けました。もう一人の方はプロジェクトの担当者でしたから兼業でした。10月ほどから仕事を始めた段階で山のような資料の翻訳が待っていました。人手がまったく足りません。しかし増えるはずの三人は翌年の4月に雇用が予定されている人たちでそれまでは2人のままでした。
その時に思う付いたのがTradosの導入です。
Tradosは機械翻訳ソフトのようですがそうではありません。Tradosは翻訳のデータベースなのです。データベースとは、以前翻訳した文章を参照できるようにしたソフトです。
たとえば[I have a fun]を「私には趣味がある」と訳したとしますと、こんどは[I have a dog]という文章が出てきたとすると「私には趣味がある」という文章が例えば70%のヒット率というような表示とともに出てきます。そして趣味と犬にアンダーラインがついていて趣味と犬を入れ替えると大体正解となります。また数字であれば[I have 1000 Yen]を「私は1000円を持っている」と訳しておけば、[I have 2000 Yen]という文章が出てくると「私は2000円を持っている」とちゃんと金額の1000円を2000円に変更して100%ヒットの文章として訳してくれます。
このように翻訳に不安があっても過去の訳を参照しながら訳して行けますので、新規文節に対して集中できるという安心感があります。また単語は単語だけで別途参照し挿入できます。またワードやパワーポイントなどさまざまなフォーマットを読み込んで訳文もフォーマットの通りにレイアウトすることが可能です。とは言えこのフォーマットの調整は曲者でした。
フォーマットに慣れるのに大分時間がかかりましたがこの山を越えた段階で使えるソフトになりました。
文章はデータベースに入って居ますから新しい改訂版が出てきても変更点だけを見つけて翻訳することが出来ます。数百ページにも及ぶ文章で変更点が散在しても簡単に見つけてそこだけを確認して訳すことが可能です。11月の半ばにTradosを導入しましたので翌年4月には相当量の文章がデータ化されました。結局応援に入る予定の3人は営業や技術にまわり書類は私の専担になりました。
最終的に2.5年で3000頁の技術文書を訳しました。訳した資料の単語数は図面の切り貼りを除くと全部で1,717,364語でした。
→次回は翻訳ソフトTradosの2です
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