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8月, 2015の投稿を表示しています

翻訳料金と品質と作業時間

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日本翻訳連盟の白書より編集 前回は →Tradosを使ったGoogle翻訳の取り込み方 を説明しました。 Google翻訳の日英・英日の精度はせいぜい50%程度のものです。天気予報のように当たるかどうか分かりません。それでも使うのは単語のヒントや数字の写し間違いを防ぐためです。 *** さて翻訳とはどの程度のかせぎになるのでしょうか。 以前にも言いましたがサラリーマンになって社内で翻訳もして営業もこなすような仕事の方が収入はぐっと高くなります。しかし色々な理由から在宅で仕事をしたい。人とのつきあいが苦手な人もいます。そのような場合、どれほどの稼ぎが期待できるでしょうか。 翻訳料金はピンからキリです。 翻訳の質にもピンからキリがあるでしょう。しかし翻訳会社が受注する価格も個人翻訳者が受け取る価格も大体の範囲があるようです。今回は私が加盟している日本翻訳連盟の2013年度版の翻訳白書から考えてみました。 これによりますと、翻訳会社が企業から英文和訳を受注する単価は、日本語訳文400文字で2500円から4000円とあります(54%がこの中に入ります)。その中間値は 3250円 です。 一方の和文英訳は原文日本語1字が13円から17円未満が一番多く、平均を15円としますと、400文字の日本語原稿は英語に翻訳されると 6000円 になります。 400字の日本語でみると英和は3250円、和英は6000円になります。 翻訳会社に納入する個人翻訳者の納入価格はとなると、私の経験も含めての算定ですが、英文和訳が1760円、一方の和文英訳は3200円になります。英文和訳も和文英訳も個人翻訳者が翻訳会社から受け取る金額は翻訳会社が顧客に納入する価格の大体54%になります。 400字の日本語でみると英和は1760円、和英は3200円です。 *** 翻訳会社の費用: 翻訳会社は個人翻訳者の訳したものをそのまま顧客に納入する訳ではありません。 会社が雇っているチェッカーが居てチェックをしているはずです。その代表的なものがネーティブチェックです。翻訳会社がネーティブチェックを含めて校正にいくら使っているかと言いますと、ネーティブチェックは平均で400文字の日本語に対し校正をも含めて1870円というのが翻訳白書に書いてある相場です。それに基づき

口先英語で発音改善 3/5

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→ 前回は場に慣れる で通訳は慣れることが大事だと書きました。しかし相手に分からせるにはやはり発音が大切です。 *** 2週間が経過してなんとか場には慣れてきました。ところが私の言っていることはあまりアメリカ人に通じないのです。そんな行き詰まっていた私の前に現れたのは帰国子女の人でした。 その人は顧客の会社の人で今回のプロジェクトの関係者でした。 *** 私が相手するアメリカ人ときたら、どこからそんな音を持ってきたのかと思うような発音をします。口をモゴモゴと言わせ、口の中で音を転がしているような音をだします。帰国子女の人もそうです。口をあまり開けずにモゴモゴと話をします。 帰国子女の人はアメリカ人と同じように話しますがそれでもやはり日本人なのでしょうか母音の終わりは多少明確に感じます。これなら真似ができるかもと思い彼の発音のまねをしてモゴモゴと口の中で話をするようにしました。ところがそうはうまくいきません、もともとモゴモゴと口の中で話をした経験がないからです。 このような複雑な動きに慣れていませんから舌がもつれました。頑張っては見たものの結局2日ほどであきらめました。音韻図で示すような口の中の舌の動きができなかったからです。しかしこのままでは解決にはなりません、そこで発音する時の口の中の動きを考えずに口先だけで小さく発声するようにしてみました。 口をすこし開けた状態で口をすぼませ、唇と舌だけを動かして話をします。 こうするとなぜか単語のキレが良くなりました。しかも最後まで口をつぼめているので母音の発声がしにくくなりその結果より米語らしい発音ができます。 さらにより米語らしいアクセントを出すために通じなかった単語は図の 「Webster Word Power」 のSpell-outというアルファベットを使った発音記号でアクセントを確かめています。 例えばAcademyならSpell-outでは[/a- ca -de-mee/]になります。これは主アクセントが -CA - だけであることを示し-CA-以外の母音は曖昧に発音せよとも解釈できます。 この場合、私は[/a-]は口の形だけで小声で「ァ」が聞こえるかどうかの音で発音しあいだを開けずに[ca-]を「カア」としっかりと発音してそれから[de]は弱くすぐに[m

通訳の場に慣れる 2/5

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Lion on JBL →前回 英語初通訳 英語の通訳を始めて2週間がたちました。 英語では2週間のことを「Fortnight」と言います。大怪我や大きなショックを受けた時、2週間は回復したり落ち着くのにちょうどよい時間のようです。私の初通訳も2週間がすぎると大分落ちつきました。 *** 1週目はさんざんでしたが 幸い2週間目に入ると少しは改善がみられるようになりました。 当初中国語通訳のスタイルに引っぱられ、話の内容を一旦聴き終わってから訳そうとしました。それは無理でした。構文が作れないのです。 2週目にはいるとそれが無理だと分かり小刻みに訳すことにしました。主題や動詞句などが出てきて訳せるカタマリが出来ると、発話者が区切るのを待たずに訳してしまうのです。ちょっと切れ切れですが同時通訳のように発話に重ねて訳せば構文はぐしゃぐしゃでも伝わるようです。 それ以外にも以下の変化がありました。 ① 聞き取れなかったアメリカ人の質問はかならず聞き返すようにしました。 うっとうしいようですが前をちゃんと訳し終われば次の話題の精度が高まります。 ② アメリカ人の方も何人かが私の実力を見極め、ちゃんとSVO型で話をしたり、主題を提示するようになった。 アメリカ人も見切ったのでしょう。これはだめだ。ちゃんとしたテキストで話さないと分かってもらえないと思ったようです。彼らもちゃんと話せばこちらも大分聞き取れます。 ③ 過去に日本企業に務めた者が私の発音でも聞き取って仲間に説明をしてくれるようになりました。 日本人の話す英語に慣れた人であれば聞き取れるという事は私の発音もまんざらめちゃくちゃではないという事です。 ④ 話の長い日本人には、話し中でも遠慮なく「ちょっと待ってください」と間を入れて通訳をするので、段々と話を短くしてくれるようになりました。 *** このように慣れることにより、通訳の場ではあまり緊張せずに済むようになりました。相変わらずスムーズに通訳はできませんが、慣れることによって少しずつ自分のペースで訳せるようになりました。 次回 →発音を改善する