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7月, 2014の投稿を表示しています

鹿児島弁

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日本の平安後期の中国 昨日日本語講師講座で面白いことを知りました。日本の方言のアクセントを学んだのですが、特殊方言として鹿児島の方言を学びました。 鹿児島の方言のアクセントは2型と言われ、語の長さがどんなに変わっても、アクセントの種類は2つしかありません。標準語は多型アクセントですから、語の長さ(拍の数)nに1が足される n+1 のアクセントがありますから、憶えるのが大変です。 鹿児島の方言はアクセントが語の最後から2つ目に来るA型と、最後に来るB型しかありません。 標準語よりはだいぶ簡単そうです。ところがこのアクセントは単語によって変わるのです。 例えば、ブラジルはA型、つまりアクセントが最後から2つ目の「ジ」に来ます。ところがおなじA型のアマゾンのアクセントは、最後から3つ目の「マ」に来ます。これでおなじA型と言えるでしょうか。 次にアクセントが最後に来るB型を見てみます。 アメリカは、アクセントが最後の「カ」に来ます。しかし、がっこうでは、アクセントは後ろから2つ目の「こ」にかかります。これではアクセントが最後の音にかかるとは言えません。 私は聞きながらこれらの音をハングルで書いてみました。(韓国語ではありません) A型 부라 지 루 ブラジル 아 마 존 アマゾン、共に後ろから2つ目です。 B型 아메리 가 アメリカ 깍 고 がっこう、赤い字で示すとおり、これならともに最後です。 それで分かりました。鹿児島の言葉は他の地域と大分違い、ハングルに近い構造を持っているということです。 このようなアクセントをシラビーム(音節アクセント)というそうです。 鹿児島は薩摩隼人の国として有名です。 薩摩隼人は渡来人系ではなく原日本人系だと言われています。 しかしこのアクセントを見るかぎり、どうもそうは思えなくなりました。 日本の歴史は、中国の膨張とともに影響を受けた韓半島が、日本に膨張して来た歴史でもあります。もしかしたら、鹿児島人は弥生時代初期の先渡来人であり、高天原族とはちがう系統の渡来人ではないかと思いました。

中国語の源流を求めて (2/5)原始中国語

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Wikipedia シナ、チベット語族中国語版より →前回 は金田一春彦氏の『日本語』との比較で現在の中国語はアジア東南地域の言語と類似していることが分かりました。 アジア東南の言語とはタイ・カダイ、モン・クメールそれにミャオ・ヤオ語です。現在はタイやベトナム、ラオスなど東南アジアの国々と中国の雲南省など中国西南の地域で話される言語です。これらの言語は相当むかしから中国語と接触していたようです。 Wikipediaの中国語にある系統図によると現在の中国語つまり北京語を中心とする北方語は最も左の中国漢語から分かれています。このグループのルーツは中古漢語つまり唐代西安で話されていた言葉にあります。その下には近代語、北方漢語、広東語がありますが中国語で書かれこの種の資料は中国人の偏見を反映している物も多く参照程度にしか使えません。 *** さて本題に入ります。 中国語の源流は6000年前黄河流域上流で栄えた仰韶文化まで遡れます。そこには中国語とチベット語(&ビルマ語)が分かれる前のシナ・チベット祖語があります(Routledge [ The Sino-Tibetan])。しかしそれ以上は遡れません。なぜなら古い言葉は音韻の再構築に依って上流へと辿るのですが遡れるのは6000年が限度です。だからとても似ている韓国語と日本語でも音韻対応が解明できないので分離は6000年以上だとしか言えないようです。 ある言語が同じ元から分かれてどの位かかると音が変わるかを知るのが言語年代学です。この方法ではおよそ1000年で音韻は19%変化します。この計算で偶然の一致を除くと現在の中国語の代表である北京語と唐代の音韻を強く残す閩南語では73%となります。私は両方話せますが北京語話者と台湾語(閩南語)話者では口語はまったく通じません。沖縄語と本土語も口語ではほとんど通じないと言います。1000年ほど前の音韻を残す沖縄の日本語も合わせて考えると表の龍山時代に漢語と蔵語(チベット語)が分かれたと考えます。 言語年代学の例 経過年数    

翻訳ソフトTrados

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サラリーマンの生活に先が見え始めたころ英語の勉強をはじめました。どうも独り立ちするには中国語だけでは物足りないと思えたからでした。 いちおう商社マンでしたから船積書類や日程などの英語の定形文は読み書きができました。しかし英語を使い世界で活躍する同僚を見るにつけ羨ましいと思いました。 そんな同僚に「中国語ができて羨ましい」と言われますと逆にそれがコンプレックスになりました。 しかし人生は皮肉なものです。中国ブームが継続し英語を勉強する暇などはとてもありませんでした。でもバブルがはじけて50才の時会社をリストラされるとやっとその機会がやって来ました。そこですぐには再就職せずに1年半ほど集中的に勉強しその後も原書を読むなどして継続しました。 *** 本格的に翻訳を始めたのは2009年からです。最初の仕事は大きなプロジェクトの技術文書をすべて訳すという大規模なものでした。大体5人程度ですべてを訳す予定でしたが当初は2人で仕事を分けました。もう一人の方はプロジェクトの担当者でしたから兼業でした。10月ほどから仕事を始めた段階で山のような資料の翻訳が待っていました。人手がまったく足りません。しかし増えるはずの三人は翌年の4月に雇用が予定されている人たちでそれまでは2人のままでした。 その時に思う付いたのがTradosの導入です。 Tradosは機械翻訳ソフトのようですがそうではありません。Tradosは翻訳のデータベースなのです。データベースとは、以前翻訳した文章を参照できるようにしたソフトです。 たとえば[I have a fun]を「私には趣味がある」と訳したとしますと、こんどは[I have a dog]という文章が出てきたとすると「私には趣味がある」という文章が例えば70%のヒット率というような表示とともに出てきます。そして趣味と犬にアンダーラインがついていて趣味と犬を入れ替えると大体正解となります。また数字であれば[I have 1000 Yen]を「私は1000円を持っている」と訳しておけば、[I have 2000 Yen]という文章が出てくると「私は2000円を持っている」とちゃんと金額の1000円を2000円に変更して100%ヒットの文章として訳してくれます。 このように翻訳に不安があっても過去の訳を参照しながら訳して行

父の言葉 母の言葉

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東北弁は昔の京都弁 内藤湖南 言葉を学んで行くと様々な分野に出会います。方言もひとつの分野です。 単一民族と自称する日本人も方言から見ると幾つかの民族に分かれるようです。日本人が思っているほど日本人は単一ではありません。 日本人の民族構成は旧石器の時代がどうだったかは分かりませんがまずは縄文の民族が居てそして稲作が持ち込まれたが鉄器がなかった弥生前期民族更に鉄器と水利を持ち込んだ弥生後期の民族が考えられます。その後も中国や朝鮮半島から民族が渡来しますが弥生後期から古墳時代にかけて現在につながる日本語が完成したと思われますから縄文人と二波に分かれる弥生人の言語が注目されます。 言語学では方言を音韻、形態、構文などで分析しますが私は単純に音韻を母の言葉として構文を父の言葉として考えてみました。 *** 日本語とは 日本語は混合言語だと言語学者の村山七郎は言います。混合言語とは何か『日本語の起源』の中で村山は「雑種」だと表現しています。つまり日本語は一つの祖語から変化した言葉ではなく2つ或いはそれ以上の言葉が合わさってできた言葉ということです。 可能性としてはアルタイ系の諸語と南島系の諸語のどれかが複数混じって出来上がった言語ということになります。 その理由は日本語の構文はどう考えてもアルタイ系です。一方 日本語の身体語彙のような基本となる語彙の中には南島系の言葉が多く含まれて居ます。遺伝子的にもそれが証明されます。 日本語の底流に南方系の言葉が有りその後アルタイ系の文法を持つ朝鮮南部の言葉が日本に入って来て日本語が成立したと言ったのは国語学者の大野晋です。 彼は後にインド南部のドラビダ語が日本語の起源という説に変わります。 しかしながら当時ドラビダ人が日本に来て鉄と稲作を伝えて言語を標準化したのであれば後に述べる秦の広東屯田兵士のように人数的にも期間的にも相当な規模が必要で父系遺伝子にも変化をもたらしたはずです。しかしドラビダ人系のY-DNAの痕跡は残されていません *** 方言について中国の場合を見てみます。標準語も方言の一種とみなします。 中国語の場合は標準語は北京語と一般に言われますが実態は中国北方の広い範囲で使われている言葉です。 この北方で使われる言語を総称して「北方漢語」と言います。大きく

言葉の誕生

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唇音を多用するオランウータンの会話 現在の人類つまり現生人類の言語は多様ですが実は20万年前はミトコンドリア・イブ(mt-Eve)と呼ばれた一人の女性が話していた単一の言語に集約されます。 つまり人類はmt-Eveが話していた社会の言葉を母語として受け継いで来たことになります。 もっとも古い言葉の形を保っているのはアフリカで現在も太古と同じ狩猟採取の生活をしているコイサン族の言葉だと言われています。この言葉は多くの音素と唇を吸うような吸着音を持つ言葉として有名です。実は最近オランウータンもこの吸着音を使ってコミュニケーションしていることが分かりました。 オランウータンは唇や舌や顎などを変化させて子音のような音を使いコミュニケーションをします。映画「ブッシュマン」を見た人ならコイサン語のチュチュという唇を吸って出す音やタ・タ・という舌の音を思い出されるでしょう。 *** オランウータンから吸着音の言葉が5000パターンほどが見つかっています。パターンから意味を解析したいのですがしかし残念なことに母音を伴わない子音だけの分析は難しいようです。 彼らは同じ意味をいくつかのパターンで使い分け、双方で確認し合うようです。例えば[自動車]なら「自動車」以外に[カー]や[乗り物]など同じ意味を交互に言って確認をするそうです。そうでないと相手が理解したか心配なようです。 これは音韻体系が未熟なせいかも知れません。または母語の発音が群れ全体で共有されていない可能性もあります。しかし言葉は人類が直立するようになり声門が下がったお陰で話せるようになったという説に疑問を投げかけます。 *** 言語は知恵により生まれると思います。人間が話すような複雑な言語は社会で認知されなければ成り立ちません。それには言語の構造化が必要です。 チンパンジーと枝分かれした猿人の末裔は華奢な体型でした。更にチンパンジーとの生存競争に負けたせいか彼らは平地に降りざるをえませんでした。彼らはサバンナで生き残るために何かをする必要がありました。彼らが苦渋の決断をしたのが火との接近だったと思います。火は今でも動物をよせつけません。なぜか裸の猿となってしまった彼らには寒さと肉食獣から自分たちを守る火との暮らしが必然だったのでしょう。 火は燃やす物を要求します。彼