中国語の源流を求めて (2/5)原始中国語

Wikipedia シナ、チベット語族中国語版より
→前回は金田一春彦氏の『日本語』との比較で現在の中国語はアジア東南地域の言語と類似していることが分かりました。

アジア東南の言語とはタイ・カダイ、モン・クメールそれにミャオ・ヤオ語です。現在はタイやベトナム、ラオスなど東南アジアの国々と中国の雲南省など中国西南の地域で話される言語です。これらの言語は相当むかしから中国語と接触していたようです。

Wikipediaの中国語にある系統図によると現在の中国語つまり北京語を中心とする北方語は最も左の中国漢語から分かれています。このグループのルーツは中古漢語つまり唐代西安で話されていた言葉にあります。その下には近代語、北方漢語、広東語がありますが中国語で書かれこの種の資料は中国人の偏見を反映している物も多く参照程度にしか使えません。

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さて本題に入ります。

中国語の源流は6000年前黄河流域上流で栄えた仰韶文化まで遡れます。そこには中国語とチベット語(&ビルマ語)が分かれる前のシナ・チベット祖語があります(Routledge [ The Sino-Tibetan])。しかしそれ以上は遡れません。なぜなら古い言葉は音韻の再構築に依って上流へと辿るのですが遡れるのは6000年が限度です。だからとても似ている韓国語と日本語でも音韻対応が解明できないので分離は6000年以上だとしか言えないようです。

ある言語が同じ元から分かれてどの位かかると音が変わるかを知るのが言語年代学です。この方法ではおよそ1000年で音韻は19%変化します。この計算で偶然の一致を除くと現在の中国語の代表である北京語と唐代の音韻を強く残す閩南語では73%となります。私は両方話せますが北京語話者と台湾語(閩南語)話者では口語はまったく通じません。沖縄語と本土語も口語ではほとんど通じないと言います。1000年ほど前の音韻を残す沖縄の日本語も合わせて考えると表の龍山時代に漢語と蔵語(チベット語)が分かれたと考えます。

言語年代学の例
経過年数     一致残存 除く偶然 参考逆算
0 仰韶 漢・蔵祖語 100% 90%    
1000 龍山 漢・蔵祖語分離 81% 73%    
2000 夏・殷 中国語祖語 66% 59%    
3000 周・秦 上古中国語 53% 48%    
4000 上古中国語 43% 39% 広東語 53%
5000 唐・宋 中古中国語 35% 31% 閩南語 73%
6000 現在 現代北方語 28% 25% 北京語 100%
 



 
 

     
しかしなぜこの民族は分かれたのでしょうか。それには仰韶文化の終焉と龍山文化の発展が関係しているはずです。


→三回目遺伝子回廊

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