日本語能力試験とTOEICの関係

日本語能力試験とTOEICの関係
TOEICは今や日本のサラリーマンにとって大変なプレッシャーです。学生さんにとってもTOEICは入社試験の足切りに使われますから得点が気になるでしょう。

ところでTOEICは一体何点取れば良いのでしょうか。それを外国人が受ける日本語能力試験との比較で考えてみたいと思います。

図は日本語能力試験とTOEICとの関係ですこの図で分かりますように、日本語能力試験の最高レベルのN1クラスでもTOEICでは650点以上にしかなりません。根拠は→実用日本語検定「J.TEST」

それならTOEICは650点あれば良いことになります。

事実日本の一流企業や大学はこのレベルで外国人を受けいれています。これが日本の大学や企業が期待する日本語能力のレベルだと言えます。

私が社内翻訳者として働いていた大手電機メーカーでも外国人の中途採用は日本語能力試験の一級(N1)を持っているかどうかで判断していました。

社内には何人かのN1取得者がいました。会話はそれほど流暢でない人でも、メールや報告書ならちゃんとしたものが出せます。言い回しがさほど上手でない人でも意味の言い違いをすることはありませんでした。このレベルになると、少なくとも自分の実力が分かりますので、不安があれば自己チェックをするかまわりの日本人に確認をします。

そういう意味で日本語能力試験N1相当がTOEICの650点レベルならTOEICで達成した後はもう試験を受ける必要はないでしょう。しかし会社はそうは思っていないようです。

そこにはTOEICと日本語能力試験の微妙な違いが存在するからです。

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TOEIC と日本語能力試験の違い

J.TESTがどのようにしてTOEIC 650点をN1級相当として割り出したか分かりませんがこの TOEIC 650点とN1の比較にはやや注意が必要です。

N1の合格はN1に限定された問題を60%以上正解すれば合格できるという学力試験です。一方TOEIC の方はプロフィシェンシーと呼ばれる運用能力が問われるテストです。業務知識の有無、素早い反応、その上で英語力が問われる試験です。日本語の→N1クラスの問題例から分かる通り運用能力や俊敏性とはあまり関係がありません。

さらにTOEICには誤差が加わります。LとRを足せば上下に90点ありますから650点の取得者にはがむしゃらに達成した560点レベルの人とたまたま何らかに理由で実力の740点を取れなかった人も含むことになります。しかしN1なら正解率を上げることで低い得点者を除くことができます。

とはいえTOEIC の『上場企業英語活用実態調査2013』では企業が期待する国際部門のTOEIC 最低点は660点です。これらの人は将来国際部門の核として働くことを期待されています。この事はN1の最低レベルがTOEIC 650点で十分だという事を示しています。ただしバランス的にはリスニングで350点以上リーディングで300点以上が望ましいと私は思います。

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