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L3 シンドローム 口語の壁 4/5

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語学専攻上級の到達レベル 実際に日本人は口語でネーティブのようなレベルに達することが可能でしょうか、今回の通訳をしていてそれはとても難しいと感じました。 そして TOEIC Research Report  Kenneth M. Wilson 1989でそれを発見しました 。 日本の英語学習でよくネーティブ並の発音とかTOEIC満点は教養あるネーティブのレベルなどと言いますが実態は全く異なることを参考にしたレポートは語っています。 図はアメリカ人のフランス語専攻学習者の到達限界を示しています。 フランス語は英語話者には学びやすい言葉ですから 日本人の英語学習の到達限界はこれよりやや劣るようです。このように外国人がいくら外国語を学んだとしても口語に関しては L3レベルでほぼ限界に達してしまいます。 ちなみにこの論文の主旨はTOEICの得点とFSI/LPIという口語評価レベルとの関連性を調べておりL3レベルは最低でもTOEICの総得点815点以上、リスニング450点以上のハイレベルだとしています。ちなみに総得点900点以上でもL3に留まっています。 つまりこれは口語の壁です。対象言語の国で生まれたか、両親が対象言語の国の人であるなど特殊な条件を学習者が持たないかぎり、L4以上に到達するのはほぼ不可能なようです。 私が 初めてTOEICを受けた時総得点は750点でリスニングは450点でした。 それから今まで約10年間に4回受けましたが、総得点は755/815/830/850と増えましたが、一方リスニングは450/425/425/450点と変わりません。TOEICの得点は25点以内は変動範囲です。リスニング450点であればL3レベルですので私もL3の壁にぶち当たっていたのです。 L3からL4へのステップはとてつもない大きなステップで、ほとんどの人は超えることはできないとされています。 しかし越えることができないわけでもありません。 私の場合、今回の通訳で感じたことはアメリカ英語に対するヒアリングの悪さです。最初はほとんど聞き取ることができませんでした。イギリス英語は比較的なじんでいますので聞き取りが容易ですが米語には慣れていません。どうもその辺りに私の弱さがあるようにです。 言葉は強い部分が弱い部分を引っ張り上げることが

語学の壁をつき破れ

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From Higgs+and+Clifford+1982 →前回は自分の通訳経験を書きました 。今回は語学学習の壁について考えてみます。 参考に →L3 シンドローム 口語の壁 を別のブログに分けて書きます。 英語の勉強をしていると何度か壁に突き当たります。学習を続ければ突破できますが、しかし困難なステージがあります。それが「化石化」です。 *** 図はアメリカ国務省やCIAなど外国語専門家を必要とする部門で働く教師55名の意見を反映したものです。彼らはまずは語学研修者をL3レベルにまで高めようとします。L3レベルはTOEICなら815点以上のレベルでこの段階に達すれば一応安心して現地に送り込むことが出来るからです。 ところがほとんどの学習者は期待に反してL3レベルにまでは達せず、「L2/L2+」(TOEIC500~805)の段階で止まってしまいます。これを彼らは「 L2 Terminal  シンドローム」と呼び、ここには化石化が関わっていると見ています。 *** 海外へ派遣したい要員ですから選抜時にはその国の言葉を実践で覚えたか、ある程度学習した経験があるでしょう。「化石化」とはその学習履歴の後遺症なのです。 アメリカの移民労働者や海外で働いて実践だけで言葉を覚えた人は外国語を体系化できずに自分の理解で言葉を組み立ててしまいそれが化石化することがあります。そうなると正しい体系を学んだとしても新しいもの受け入れられなくなります。 これは学校教育だけで語学を学んだ人にも起こります。その人を教えた教員の文法知識が未熟だった場合、間違って教えられたものがそのまま「化石化」してしまいます。それが英語を教える語学教師の研修生にさえ現れた例もあります。 例えば単語ばかりだけをやたらと暗記させられて文法はしっかりと教えてもらえなかった為に化石化してしまった例がそうです。このような人はたいていL1(TOEIC500以下)止まります。 日本人にも当てはまるのではないでしょうか。 では化石化した学習者を救えないのでしょうか。 私はL2/L2+のレベルで壁に突き当たってしまった人たちの 弱点が語彙と文法に集中している いう点に注目します。 化石化に対抗するには化石を破壊する必要があります。その方法が多読です。多読すれば普段は触れな